舞鶴学園
児童養護施設「舞鶴学園」、及び保育所「タンポポハウス」からなる複合施設である。事務室・職員室などを収めた「管理棟」、子供たちの生活の場となる「小舎棟」7棟、それに保育所の計8棟の建物から成っている。
児童養護施設とは、様々な理由で親との生活ができなくなった2〜18歳の子供達が入所し、ここから地域の学校へ通う子供達の「いえ」の役割を担う施設である。幹線道路が通りホテルが建つなどの周辺環境の悪化と既存建物の老朽化に伴い、街中から静かな環境の農村部への移転と相成った。これに伴い学園が目指したのは「小舎制」への移行であった。元の建物は「大舎制」であり、できるだけグループ分けをして「中舎制」的な運営に勤めてきた。しかし人数が多いとどうしても共同生活には適応できるものの自立心が育ちにくい。小舎制においては子供部屋は原則個室、それぞれの棟に台所や風呂など生活に必要な設備が備えられ、保母さんも住み込みで子供達と生活を共にし、より家庭に近い環境で子供達と接することができる。よって建築も、普通の「いえ」を目指した-木造真壁の住まいは今や普通ではないかも知れないが-。
また、将来的な児童数の増減や福祉制度の変化などに対応すべく、フレキシブルな構造や間取りとした。小舎棟の個室は可動家具で仕切られ、兄弟で生活する場合など2人部屋への転用も可能である。構造方式は1階:RC造(スケルトンのみ)、2階:木造の混構造することで、耐震性、下階への防音性能、および将来の増改築への対応などを目している。何より無垢の木材に囲まれた生活が、子供たちにとってプラスの体験となれば、と願っている。
「タンポポハウス」は、これまで学園が無認可で行ってきた保育事業を、規模を拡大し認可保育所として再スタートさせたものである。用途上建物には大きいスパンを要求されるので、スケルトンは鉄骨としたが、外壁及び間仕切壁を木造とし、床は杉の縁甲板とすることで学園と同様に温かみのある空間を創出した。
2001年舞鶴市まちづくりデザイン賞 受賞
Information
所 在 地 | 京都府舞鶴市 | 構 造 | 鉄筋コンクリート+木造 |
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敷地面積 | 4,821.53㎡ | 階 数 | 地上2階 |
建築面積 | 1,691.89㎡ | 用 途 | 児童福祉施設 |
延床面積 | 2,444.97㎡ | 完成年月 | 平成13年9月 |