丸福樓
場所は京都市河原町正面通りの近く、旧くからこの地にあった京都を代表する企業「任天堂」の旧本社であった建物を宿泊施設へコンバージョンした計画である。
3棟ある既存建物は、昭和初期に建てられた鉄筋コンクリート造の建物で、水平線を強調したタイル張りの外観、アールデコ調の意匠が施された内装などが残る文化財としての価値も高い京都屈指の洋館である。
安藤忠雄建築研究所と共同で設計監理を行い、既存建物は耐震補強を行い建物の安全性を確保すると共に新たな建物を増築した。増築部分は、過去の記憶の継承の上に現代の視点が介在することで、既存建物の旧さが生きると考え、新しい部分と旧い部分とがお互いに刺激し合う構成となることを意図している。
既存建物の内装については、旧い建物の歴史に敬意を表し、かつての雰囲気を損なわないように細心の注意を払い改修を行った。既存建物に残る壁紙、建具、家具、備品などを積極的に再利用し、建物の歴史や文化を感じ、大切に使われてきた記憶とともに継承している。
歴史的にも文化的にも価値の高い建物を現代、そして未来へと再び息づかせるために、形だけを保存してただ残すのではなく、建物が残ることにより歴史や文化という背景にも想いをはせられるような再生を考えた。
令和6年 第33回BELCA賞 ベストリフォーム部門 受賞
Information
所 在 地 | 京都市下京区 | 構 造 | 鉄筋コンクリート造 |
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敷地面積 | 801.72㎡ | 階 数 | 旧事務所棟:地下1階、地上4階建て 増築棟:地上4階建て 旧住居棟及び旧倉庫棟:地上3階建て |
建築面積 | 旧事務所棟:510.58㎡ 増築棟:535.48㎡ 旧住居棟:259.96㎡ 旧倉庫棟:410.06㎡ | 用 途 | ホテル |
延床面積 | 旧事務所棟:134.54㎡ 増築棟:189.22㎡ 旧住居棟:89.18㎡ 旧倉庫棟:155.26㎡ | 完成年月 | 2022年3月 |