TGOO【河崎邸】
大阪市内にある昭和初期の住宅を婚礼の際に利用する待合と事務所にコンバージョンする計画である。
建物は昭和12年に竣工し、鉄筋コンクリート造2階建てスパニッシュ様式の洋館である。緑色の瓦葺きにクリーム色の外壁を持ち、一見するとシンプルな外観であるが、3連のアーチ窓や日本の気候風土に合わせて設けられた深い軒庇など上品な佇まいの建物である。また、内装には部屋ごとに異なった寄木張りのフローリングや象嵌が嵌め込まれた家具、瀟洒な照明器具など戦前のままの貴重な姿が残る。
改修にあたり、既存建物の佇まいを残すことに重点を置きながら、用途変更後の機能を充実させるために木造で一部増築を行なった。増築部分は特注で瓦を製作し、基礎や外壁を既存建物と同様の仕上げとするなど、平面計画も含め、増築後に違和感が生まれないように計画した。設備機器は全面的に更新を行なったが、家具と一体になった床置き空調機器の採用や既存照明器具のLED化など当時の趣を損なわないように配慮しつつ、現代の用途に対応した改修を実施している。
戦前から残る当時のままの貴重な姿を残し、ハレの場にふさわしい改修を行なった。
(文責:額田)
Information
所 在 地 | 大阪市都島区 | 構 造 | 鉄筋コンクリート造一部木造 |
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敷地面積 | 486.85 ㎡ | 階 数 | 地下1階、地上2階建 |
建築面積 | 225.11 ㎡ | 用 途 | 事務所 |
延床面積 | 395.90 ㎡ | 完成年月 | 2024年5月 |