Spruce KITS

大阪市内に建つ、4階建ての共同住宅である。
 狭小な敷地であったため、住戸内の居住空間を最大限確保することを目的として、壁式ラーメン構造を採用した。これにより、柱・壁・梁という構造要素の全てを壁の中に納め、居住間をより広く利用できるような設計を行った。
 外観は、構造体である壁(端的に言えば板)をモチーフに構成し、 意匠と構造が統一されたデザインとなることを目指した。さらに、立面に現れるバルコニーの手摺はスチール平板のみで構成し、防錆対策のため、 溶融亜鉛メッキ後にリン酸亜鉛処理を施している。スチールに施したリン酸亜鉛処理の被膜は、時と共にゆっくりと色が変わる。これは、経年変化によって建築の表情が変化し、近くに住む建築主が楽しめるように意図したものである。
 石目調タイルの壁面に沿って進むアプローチ、その先の壁面にスリット状の開口部を設け、階段が見えるようにデザインした。これにより、視覚的に奥へと誘う空間となり、照明配置もこれに即した計画としている。
 狭い敷地ではあるが、居住空間を広く活用できるように技術的な工夫を行い、構造形式から外装、内装意匠まで壁という一つの建築言語でデザインした建築である。
(文責:額田)

Information

所 在 地 大阪市淀川区 構  造 鉄筋コンクリート造
敷地面積 105.00 ㎡ 階  数 地上4階建
建築面積 75.05 ㎡ 用  途 共同住宅
延床面積 281.80 ㎡ 完成年月 2019年6月